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学童の近視治療 いつやるの?今でしょ!4

近視治療4回目(最終回)は、近視抑制効果のあるメガネと、近視の悪影響について具体的に解説してゆきたいと思います。今までも近視抑制メガネはいろいろと発売されてきたのですが、HOYA社からMIYOSMART(マイヨスマート)と呼ばれる近視抑制メガネがシンガポールでは販売されています。これは、レンズの中にリング状のブツブツがあり、中心部と網膜周辺部にフォーカスを合わせる二重焦点の効果をもたらし、近視の進行を抑制してくれる構造になっています。この商品は同社が香港の近視研究所と組んで開発したもので、データでは、通常の眼鏡を使用した群と比較すると、2年間で50%くらいの進行抑制があると結果が出ました。ただ、中国と香港のみのデータで日本や欧米などの臨床研究の結果が出ていないので、もう少し経過をみてゆきたいところですが、前回ご紹介した近視抑制用コンタクトができない学童、コンタクトはまだちょっとという方には、こちらの眼鏡をお薦めしています。残念ながら、こちらも日本では販売されておりません。

最後に<近視の悪影響>についてアドバイスすると、学童期に近視が進行しすぎると、眼鏡やコンタクトレンズを頻回に変えていかねばばらない、以外に、その方が大人になった時に病的近視(日本で600万人くらいの方が罹患)に発展していってしまう可能性もあります。病的近視は、眼球がさらに伸長し、網膜がさらに薄く引き延ばされるため、黄斑部や視神経がある網膜の大事な部分がボコッと後ろに突き出し、後部ブドウ腫といわれる状態になり、緑内障、網膜剥離や眼底出血などの視力を失いかねない合併症を引き起こしやすくなります。このように大人になった時に視力を奪ってしまう病気にさせないためにも、近視が明らかには出ていないうちに早期発見し、出始めた時から早期治療をして、近視進行をできるだけ最小限にしておくことを強くお薦めします。

医師 岡野 喜一郎