以前にもご紹介した「マイクロスポリジア角膜炎」を患った方が最近みられます。注意喚起も兼ねて、再度お伝えしたいと思います。
この疾患は、マイクロスポリジウムという寄生虫による角膜と結膜の炎症です。臨床所見としては、ほんのりとした充血、結膜浮腫をきたし、眼科診察上では、角膜上皮に小さな顆粒状の斑点が付着しています。マイクロスポリジウムは普段は土壌深くや溜まった雨水などの中にいるのですが、雨が降り土が柔らかくなったグラウンドでサッカーやラグビーを行うと、跳ねて目に入った際に土砂の中に含まれていると、角膜に付着しゆっくりとした進行で炎症を引き起こすのだと考えます。
「目が赤いのがなかなか治らない」という訴えでGPを受診され抗生物質の点眼薬を処方されてもなかなか改善しないのが特徴です。
問診を詳しく聞くと、1-2週間前に雨の中泥だらけの中でサッカーをしたとのことでした。
この「泥だらけの中」がキーワードになります。
治療方法は、点眼薬や内服薬など特に有効なものはなく、感染を起こしている角膜上皮を削ることしか有効な方法はありません。海外の報告では、治癒が遅れると角膜混濁を起こし、角膜移植が必要になったケースもあることから、泥や不衛生な水が目に入ったあと、なかなか治らない結膜炎に関しては上記を疑った方がよさそうです。
予防方法としては、泥が入ったあと、市販の点眼薬やアイボンみたいな眼洗浄液を大量に用いて、数回眼の中を洗眼し、数日中に眼科受診をすることをおすすめします。
医師 岡野 喜一朗