ひと昔前は「ニキビは青春のシンボル」などと言われたものですが、最近は成人女性でもニキビに悩む人が増えてきました。
ニキビは(1)過剰な皮脂の分泌(2)角化異常に伴う毛包の塞栓(毛穴が詰まること(3)アクネ桿菌(ニキビ菌)の増殖、以上の3つが主な要因です。
中学生や高校生など10代のニキビは頬・おでこ・背中など様々な部位に出現しますが、成人後に発症する大人のニキビは口やアゴの周りにできることが多く見られます。実はその理由はホルモンバランスにあると言われています。
女性の体内でも男性ホルモンが作られているのですが、疲れ・ストレス・子宮や卵巣の機能障害などで女性ホルモンのバランスが不安定になると男性ホルモンが優位に働き、男性のヒゲが生える部位(口周り〜アゴ、首、もみあげなど)の皮脂分泌が活発になりニキビができやすくなると言われています。月経周期に連動してニキビがひどくなる場合や月経不順がある場合は婦人科に相談してみるのも良いでしょう。
もちろん食生活も影響します。インスタント食品やファーストフードなど手軽に済ませられるものばかり食べていると栄養が偏ってしまいます。緑黄色野菜やキノコ類、芋類、海草類など食物繊維やビタミン、ミネラルを豊富に含む食材を積極的に食べるよう心掛けてください。
飲み物も甘いミルクティーやカフェラテなどは脂肪分や糖分を摂り過ぎてしまうので、ハーブティーに少しだけ蜂蜜を入れるなどの工夫をしてみましょう。
ナッツやドライフルーツは鉄分や食物繊維は豊富ですが、カロリーが高いので、食べ過ぎないよう注意してください。
またニキビ肌の人は一日に何度も洗顔をしたり、さっぱりした化粧品を好む傾向にあるため、皮脂を除去し過ぎて「乾燥肌なのにニキビができる」という状態になりがちです。一生懸命お手入れしているにも関わらず間違ったスキンケアで乾燥ニキビ肌になってしまった人が非常に多く見られます。皮膚は乾燥すると免疫力や再生力が低下するため、ニキビだけではなく湿疹なども回復が遅くなってしまいます。
頑固なニキビ肌で悩んでいる人は食生活やスキンケア方法について見直してみましょう。セルフケアでなかなか改善が見られない場合は皮膚科医に相談してください。
医師 大木 理香