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放置してはいけない膵嚢胞(すい のうほう)

膵嚢胞(すいのうほう)は膵臓にできる中に液体が貯留した袋状のもの言います。多くの人は無症状で、健康診断の腹部超音波やCT検査などで偶然見つかります。

同じ嚢胞でも肝臓や腎臓にできるものは、ほとんどが良性ですので放置して構いません。一方で、膵嚢胞には炎症性のものから腫瘍性のものまで様々あり、注意が必要です。
膵炎後にできた炎症性の嚢胞は良性と考えられますが、膵炎をおこしたことがないのに膵臓に嚢胞がある場合は、腫瘍性のものを疑うこととなります。
腫瘍性の嚢胞のなかで最も多いのが、膵管内乳頭粘液性腫瘍(通称IPMN)です。
IPMNには良性から悪性まで様々な段階があります。膵管との位置関係、嚢胞の形態や大きさなどから総合的に判断して、悪性が疑われる場合は治療を検討します。
また、最初は良性と考えられても、経時的に良性から悪性へと変化していくことがあるため、定期的な経過観察が必要となります。
IPMNは早期に膵がんを発見できる可能性のある病気です。膵嚢胞を指摘されたら、放置はせず医師にご相談ください。

医師 佐野智彦