内軟骨腫
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シンガポールで日常よく遭遇する下痢症について

急性下痢症の9割は感染症が原因とされています。日常診療でウイルス(一部のウイルスを除く)や毒素性の細菌性食中毒は通常の検査で同定できないので、今回は当院でよく診断される下痢症の細菌や寄生虫について紹介します。

シンガポールで比較的よく診断されるものとして、下痢原性大腸菌やプレジオモナス菌、エルシニア菌、寄生虫があげられます。これらは、汚染された食品や水を介して感染します。日本では、国内発生がほとんどないため、旅行者下痢症とも呼ばれます。
最も多いのは、下痢原性大腸菌感染です。下痢や嘔吐を主症状とするものから、下痢が目立たず血便や長引く腹痛をきたすものもみられます。
しばしばプレジオモナス菌やエルシニア菌も見られます。軽症例が多いですが、大腸内視鏡検査の際に偶然、潰瘍性大腸炎やクローン病と似た粘膜の炎症が見られ、後に便検査で診断されることもあります。一部の感染者では、長期的に腸に炎症を起こし続けるものがあることが予測されます。
寄生虫感染症では、ジアルジア、赤痢アメーバ、クリプトスポリジウムが診断されます。国外出張や旅行後にみられることが多い印象です。
他にも、サルモネラやカンピロバクター菌が散見されます。高熱や腹痛、下痢、血便など、中等症から重症例が多いのが特徴です。生の鶏肉や生卵が原因となります。

急性下痢症の多くは自然回復します。しかし、これまでに経験したことのない下痢症状や、長引く場合は、シンガポールの地理や食料事情も考慮し、検査や治療を積極的にしていくことが大切です。

医師 佐野 智彦