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イヤホンによる外耳炎

通勤やランニング中にイヤホンをされている方をよく見かけます。最近はコロナで働き方が変わり、リモートワークでイヤホンが欠かせなくなったという方も多いのではないでしょうか。そんな中、「イヤホンによる外耳炎」で来院される方が増えているように思います。

外耳とは耳の入り口から鼓膜までの部位で、いわゆる耳かきをするときに触れるところです。一般的に外耳炎は耳そうじのし過ぎでなることが多く、小さな傷から菌が入って炎症を起こし発症します。菌は湿潤環境を好むため、高温多湿の時期に増える傾向があります。
「イヤホンによる外耳炎」は、イヤホンの外耳への刺激に加えて、長時間の装用で外耳が高温多湿になることも影響します。シンガポールはその気候のためか、若い方の外耳炎が日本と比べて多いような気がします。

治療には抗菌薬の内服や点耳液を用いますが、耳鼻咽喉科で処置をしないと治らないケースもあります。中には真菌症といって、耳の中にカビが生えて炎症を起こしている場合もあります。真菌症は難治性で、長い期間の通院処置が必要になるケースが多いです。

外耳炎になりやすい方には、骨伝導イヤホンがオススメです。骨伝導イヤホンは、耳の近くの骨を振動させることで音を聞くことができます。通常のイヤホンのように耳を塞がないため、外耳に傷がついたり中が蒸れたりする心配がありません。私も実際に試聴したことがありますが、想像よりもクリアに聞こえ、また耳を塞がないために周囲の音も同時に聞くことができます。ですので、装用中に話しかけられたり、後ろから車が近づいてきたりしても気づくことができます。
一方でこれがデメリットでもあり、周囲に雑音があるとイヤホンからの音が聞こえづらくなります。そのためバスや電車内など雑音が大きいところではボリュームを上げすぎてしまう危険性があります。

近年は長時間のイヤホン装用による「イヤホン難聴」が問題になっており、骨伝導タイプでは特に注意が必要です。骨伝導イヤホンは、リモートワークやランニング中など、比較的静かなところでの装用が適しているかと思います。場面によって通常タイプと骨伝導タイプを使い分けるのがいいかもしれません。まだ経験のない方は、おもしろい感覚ですので一度試してみてはいかがでしょうか。

医師 高木 太郎