眠れぬ夜は ダニのせい?
2025年7月22日

マイクロスポリディア

今回は日本では通常経験することがなく、シンガポールなど東南アジアで比較的よく見られる眼疾患マイクロスポリディア菌についてお話しします。

角膜炎(黒目の表面に傷や炎症が生じる疾患)の原因微生物として注目されているマイクロスポリディアの和名は微胞子虫と言い、「虫」が含まれていますが、分類上は真菌です。卵形の胞子からなり、40マイクロ程度の大きさです。

東南アジアの土壌内や水中に生息しており、シンガポールでもラグビー、野球、サッカーなど砂ボコリが舞うようなスポーツ後に発症するケースが多いです。免疫力が低下している方に生じやすいと言われていますが、免疫正常者でも感染します。

症状については充血や違和感だけで受診される方もいれば、目の痛み、まぶしさ、見えづらさまで感じる方もいて、角結膜炎による様々な臨床像を呈します。

診断方法は角膜から採取したサンプルの顕微鏡観察もしくはPCRによる微胞子虫DNA確認などがありますが、多くの場合は臨床所見による菌体確認での診断となります。

菌体が極少ない場合は、抗菌抗炎症点眼やドライアイ点眼で改善することもありますが、中等症以上となると物理的な菌体除去、抗真菌薬まで必要とするケースもあります。

このマイクロスポリディア感染を予防するためにスポーツ直後に目を洗浄したり、点眼をする習慣をつけるのも推奨されています。スポーツ後の治りにくい充血や違和感があればマイクロスポリディア感染の可能性もあるので眼科受診を推奨します。

医師 高橋 宏和