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歴史上の心療内科患者さん 夏目漱石(1867-1916)とコンニャク療法

胃もたれ、胃痛、吐き気、下痢、、、、
今の時代は、おなかの症状が続くと、ストレスかな?と自分で思い当たる人もいる。
夏目漱石は繊細で神経症であったと言われる。
長年胃痛で苦しみ、胃潰瘍(いかいよう)からの大量出血で亡くなった。胃潰瘍の原因としては、ストレス性に加えて、当時の衛生環境ではピロリ菌感染もあったかもしれない。また、持病の神経痛で鎮痛薬を愛用しており、鎮痛薬が胃に負担をかけた可能性も言われている。

当時、病院で真剣に行われていた胃潰瘍の治療法にコンニャク療法というのがあった。病室に蒸し器を設置し、熱々に熱したコンニャクを取っ替え引っ替え、十日間余りもおなかの上に載せ続けるというものだったらしい。腹部の皮膚はやけどで水ぶくれになり、激痛だったという。水ぶくれができれば効果がある証拠とされたが、現代から見ると荒唐無稽、恐怖でしかない。昔のお医者さんたちも一生懸命だったとは思うが、患者さんたちはかなり気の毒だった。
漱石もこの治療でずいぶん苦しんだらしい。腹が火ぶくれになり、紫色に変色したと、日記にも書いている。コンニャク療法によるストレスが漱石の胃潰瘍をさらに悪化させたのは間違いないだろう。

医師 日暮 真由美