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アレルギー薬でアルコールより酔う?

鼻炎(花粉症やハウスダスト)、喘息、アトピー、食物アレルギーなどのアレルギー疾患は、症状が強くでると生活の質が大きく低下します。アレルギーを抑えるのに最も普及しているのが、抗ヒスタミン薬と呼ばれるお薬です。1940年代に開発されたので、70年近い歴史を持ちます。ヒスタミンと呼ばれるアレルギーを起こす代表的な物質の働きを抑えるお薬です。症状が楽になるため、世界中で幅広く使われています。しかし、種類によってはアルコールより酔ってしまうことはご存知でしょうか?

当初開発された抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン以外の物質の働きも抑えてしまったり、本来は効いてほしくない脳にも入ることで、口が渇いたり、眠気がでたりしてしまいます。脳に対しては、1錠でウイスキーシングル3杯(90ml)と同じ程度の活動低下をもたらすことが知られています。しかしながら、こういったお薬は現在も非常に多く流通しています。アメリカの一部の州では、古い世代の抗ヒスタミン薬を服用して運転すると、飲酒運転と同様に処罰されることもあります。

1980年代以降は、なるべくヒスタミンだけを抑え、かつ、脳に入らないような薬の改良が行なわれてきました。現在では、それぞれの患者さまの社会生活や体質に応じて、仕事・勉強・運転・スポーツ・妊娠や授乳の有無などに応じて、最適な抗ヒスタミン薬やその他のお薬を選べるようになっています。アレルギー薬の選択でお悩みの場合は、ご相談ください。

医師 千原 康裕