今回は「スピンオフ整形外科シリーズ」、ドラえもんと医療用ロボットについてのエッセイを書いてみたいと思います。ドラえもんは子供向けの雑誌に初めて登場したのが1970年、マンガとして生まれてから今年でちょうど50年だそうです。おめでとう、ドラえもん!100周年は私は年齢的にもうお祝いできないと思うので(笑)、半世紀のお祝いというものが特に愛おしく思えます。
実は、お話の中でのドラえもんの誕生日は元々2012年の9月だったのですが、「未来から来たロボット」である必要から、50年のうちに設定が途中で2112年生まれに変わったという事実はあまり知られていないでしょう。作者も、当初はまさかこんな長寿アニメになると思ってもいなかったのかもしれません。
1970年のときに作者が思い描いていた2012年のイメージからすると、現代はまだ遅れているのかもしれずドラえもんはいませんが、それでもようやくロボットが手術をする時代にはなってきました。やがてロボットは医者の仕事を凌いでいくのでしょうか。
思い返せば、十数年前に働いていた病院ではかわいいロボットが既に院内の道案内をしていました。これからどんどんロボットが医療の世界で活躍するようになるでしょうし、確かにその流れを止めることは出来ないのかもしれません。でも私はこう思っています。ロボットは医師のサポートは出来ても、完全に置き換わることは不可能であると。
その理由は2つあり、1つには「ロボットを操ったりデータを提供する優れた外科医はやっぱり必要でしょ!」と思っているのと、高名な先生たちの手術を今まで見てきて、マニュアルにはない臨機応変のオプションに術者の人間らしさを感じ、「ロボットには出来るだろうか?」と感じたからというのがあります。こんな風に思えるということは、私は優秀な先人たちに恵まれ幸せだったのかもしれません。さて、AIはこの先どこまで人間の知能に近づけるでしょうか。
ところで、ドラえもんの道具が今もなお人々を惹きつけているのって凄いですね。私はタイムマシンが欲しいですし、行きたいところにすぐ行ける「どこでもドア」なんて今のコロナの状況ではまさに欲しいアイテムだと思いませんか?(笑)いろんなアイテムでのび太くんを助けるドラえもん。万能だけれどさりげないところが私は大好きです。
私も医師として、いつか患者さんや周りの人々にとっての「ドラえもん」になれたらいいなと思います。
医師 長谷川 典子