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肘内障のアレコレ

肘内障とは、子供が手を引っ張られた痕などに、痛がって腕を動かさなくなる症状のことです。
主に5歳以下の子供に多くみられ、肘の外側の骨(橈骨)の頭から靭帯がはずれかかるというのがその病態です。医療用語的には、「亜脱臼」という状態です。

どんなふうに受傷したのかをよく聞き、この病態を疑ったら外来で徒手整復を行います。整復後は、直後からいつも通りに腕が動くようになり痛みもないため、子供たちからは私は魔法使いのおばさん(まだおばあさんではないですよね??)と思われているかもしれません!?ただし自然に整復されていることもあります。

さて、このコラムの執筆歴14年目の私ですが、今まで肘内障については意図的に書いてきませんでした。理由は、小児科の先生のネタを奪ってしまうようで遠慮していたからです(笑)。でも、最近まるで流行り病のように患者さんが来られるので、ついにこのトピックを取り上げることにしました。

そう、肘内障は整形外科と、私の知る限りは小児科の先生も治療可能です。その反面、シンガポールのほとんどの救急外来では治せず湿布だけもらって帰る、ということが多くあるということで私はお母さんたちには「もしも今後、夜間や休日になったときには、慌てず一晩待っても良いですよ。一晩待つことで、後遺症を残したりだとか、取返しのつかない病態になることはないですよ。でもお子さんは痛いので、痛み止めなどで対応しておいてくださいね。」と伝えるとお母さんたちは安心してくださいます。私の体感では、小学校低学年までは再発を繰り返す子たちがいますので、それくらいの年齢までは手を急に引っ張るなどの行為をしないようにお話ししています。

1つの注意点があります。転んだとかぶつけたといった肘そのものをダイレクトに受傷した場合は、肘内障ではなく他の病態(打撲や骨折、完全な脱臼など)です。その場合はレントゲンなどの検査が必要になりますし治療方法が全く変わってきますので、「どのように受傷したのか」をどうぞ医師に詳しくお聞かせください。

医師 長谷川 典子