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性感染症(STD)2 淋菌感染症

淋菌感染症は淋菌の感染による性感染症(STD)です。淋菌感染症は世界中で近年増加傾向で、我が国(日本)での感染症発生動向調査によると、1999年4月以降連続して増加傾向にあります。感染者はクラミジア感染症と同様、20歳代の年齢層に最も多く、報告数の中で女性の数が男性より極端に少数であることについては、女性は自覚症状に乏しく受診の機会が少ないことも要因の一つと考えられます。

臨床症状は、男性は主として淋菌性尿道炎を呈し、女性は子宮頚管炎を呈します。男性の尿道に淋菌が感染すると、2~9日の潜伏期を経て通常膿性の分泌物が出現し排尿時に疼痛を生じます。しかし最近では、男性の場合でも症状が典型的でなく、粘液性の分泌物であったり、場合によっては無症状に経過することもあるようです。女性では男性より症状が軽くて自覚されないまま経過することが多く、上行性に(腟から子宮、卵管を通して腹腔内まで)炎症が波及していくことがあり、クラミジア感染症とともに、骨盤炎症性疾患、卵管不妊症、子宮外妊娠、慢性骨盤痛の主要な原因となっています。

淋菌検査は、血清診断法は有用ではなく、腟頸管部より分泌物を採取して行います。

治療は、スペクチノマイシン(注射)、セフィキシム(内服)などを用いて行います。

予防対策としては、性的接触時にはコンドームを必ず使用することです。また、患者だけでなくその接触者を発見し、パートナーとともに早期診断と治療を行うことが重要です。不特定多数の相手との性交渉は避け、心配な場合はSTD検査やブライダルチェックなどで検査を受けることをお勧めします。

医師 長谷川 裕美子