質問です。
現在、ビールコップ1杯程度の少量飲酒で、すぐ顔が赤くなる体質がありますか?
飲み始めたころの1―2年間はそういう体質がありましたか?
現在もしくは過去のいずれかに「はい」があれば、フラッシャーと判定されます。
フラッシャーとは、少量の飲酒でも顔が赤くなり、眠気、動悸、吐き気、頭痛など不快なフラッシング反応が起こりやすい体質の人のことです。これは、アルコールを分解する2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きが弱い遺伝子型の人に多くみられます。アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドの分解が遅いため、毒性のあるアセトアルデヒドが体に貯まることが主な原因となってフラッシング反応を起こします。日本人の4割程度は、2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きが弱い遺伝子型で、お酒に弱い人種です。5―10%は強いフラッシング反応のため、全く飲めない下戸で、30―40%は一般的にお酒に弱い人たちです。しかし、お酒の弱い人でも習慣的に飲んでいると耐性ができて不快な反応が起こりにくくなることから、習慣飲酒者になることがあります。
ここで問題となるのは、本来お酒に弱い遺伝子を持つ人が習慣飲酒者になると、食道や咽頭がんのリスクが高くなることです。これは、代謝しきれず体に貯まった毒性のアセトアルデヒドが気化して唾液に溶け込み、その唾液が食道や咽頭で上皮のDNA障害を起こすことが原因と考えられています。
フラッシャーと判定されても、お酒を味わい、楽しむことは問題ありません。ただし、習慣的に飲酒をされる方は飲酒習慣を見直してみてはいかがでしょうか?
医師 佐野 智彦