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肝機能検査のALT(GPT)高 値を放置していませんか?

ALTはアラニンアミノトランスフェラーゼの略で、肝臓の炎症がどのくらい起こっているか見る検査です。
肝臓の炎症が続くと線維化が起こり、肝臓は次第に硬くなってしまいます(肝硬変)。
肝硬変は、腹水、むくみ、黄疸(体が黄色くなる)、意識障害や吐血、下血の原因となる重篤な病気です。

肝臓の炎症の程度は車の速度に例えられます。
ALTの基準値は~40U/Lとされていますが、30を超えると肝に炎症があることが分かっています。したがって、肝臓にとっては、生活道の時速30km(30U/L)以下が適切な速度です。
高速道路の時速80km(80U/L)や一般道の60km(60U/L)で走っていると、速度が速いほど、肝硬変というゴールに早く到着してしまいます。
ましてや、生活道で時速100kmを超える運転をしたら、肝硬変にまっしぐらだけでなく、その前に重大な事故も起こしかねません。

ALT高値の原因は、肥満、アルコール、ウイルス性肝炎、薬やサプリメント、自己免疫など様々です。生活習慣の改善(減量、禁酒)や原因によってはその除去や治療薬により改善が期待できます。
肝硬変になるまで自覚症状はほとんどありません。健康診断で肝機能異常を指摘されたら放置はせず、医師にご相談ください。

医師 佐野 智彦