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日本脳炎ワクチン

これまでシンガポールで、なかなか接種できなかった日本の「日本脳炎ワクチン ジェービック」が2016年12月末より当院で接種できるようになりました。
「日本脳炎」という病気のため、日本にしかない病気と誤解されますが、病気の調査と研究が日本で行われたため名付けられたもので、多くのアジア諸国やオーストラリア北部で今なお流行が見られています。2016年にはベトナム都市部での流行や、日本でも日本脳炎発生件数11名(1名死亡)というのもニュースになりました。
日本脳炎はウイルスをもったブタを吸血した蚊にヒトが刺されると感染を受けます。感染しても症状がでない人が多いですが、発病すれば頭痛、高熱、意識障害などの症状が現れ、発病者の1/3は死亡し、1/3は後遺症を残すとされています。
シンガポール国内では、「日本脳炎」は小児の推奨ワクチンになっていませんが発生国である日本やアジア近隣諸国に滞在するのであれば、「日本脳炎」は有効な特効薬がないため、予防接種を受けておいたほうがよいでしょう。

この「日本脳炎」の予防接種は、標準的にはⅠ期として3歳の時に1~4週間隔で2回、4~5歳の間に1回を受け、さらにⅡ期として小学校3~4年生(9~12歳)で1回受けます。
海外生活が長くなると、Ⅱ期の接種が忘れがちになりますので、一度、お子様の母子手帳をご確認ください。
成人の方で北海道で幼少期を過ごした方は、一般的に日本脳炎の予防接種を受けていませんので、1~4週間隔で2回、翌年さらに1回の接種をうける基礎免疫から始める必要があります。
なお、小児期に日本脳炎の接種を済ませた成人の方でも、免疫を持続させるためには5~10年に1回の追加接種を受けることが望ましいとされていますので、アジア近隣諸国に頻繁に旅行や出張の予定がある場合はご検討ください。

医師 佐野 智彦