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ミックス戦略

水谷・伊藤選手が金メダルの卓球混合に加え、柔道の団体やアーチェリーなど新しい混合競技がオリンピックに加わりました。薬の世界でミックス混合というと、シンガポールではアセトアミノフェンとイブプロフェンがミックスされた解熱鎮痛薬がOTC(市販薬)で手に入り、相乗効果が期待できます。

新型コロナワクチンでもミックス戦略が有効なことがどんどんわかってきました。各種ワクチンは、2回接種の場合同じメーカーのワクチンを接種することが前提でつくられています。メーカーの意図には反するのですが、あえて違うメカニズムのワクチンを利用することを専門的にはHeterologous prime-boostと呼びます。アストラゼネカのベクターワクチンでは非常にまれではありますが、若い人で血栓症が問題にもなり、2回目の接種をmRNAワクチンで行うことが英国をはじめ多くの国で行われ、供給の問題が減ったり、副反応が減ったりしただけでなく、同じワクチンを使うより効果が高まったりすることが分かって来ました。これからの論文待ちではありますが、ファイザーやモデルナの1回目ワクチンである程度副反応が出てしまった人に対してSinovacなどの不活化ワクチン(2回)を接種することでmRNAワクチン2回接種と同じ扱いに、シンガポールではなるようです。

また、ノババックスというさらに違うタイプのワクチンも年末には利用できるであろうと繰り返しアナウンスされており、更なるミックス戦略も出てくるかもしれません。

医師 林 啓一