指のように繊細な動きは出来ないため日常において興味を持たれることはあまりないと思われますが、実は肩関節は上肢の動きをコントロールする重要な関節です。人間の関節の中で最も可動域が大きいにもかかわらず、いわゆる五十肩などが進行すると凍結肩といって可動域が極端に狭くなってしまうので治療には往々にして時間を要します。
そんな肩関節は肩甲骨と上腕骨の接合部分で関節包や靭帯によって守られ、また回旋筋群といういくつかの筋肉によっても支えられているため安定性が維持されています。最も可動域が大きいだけに不安定性も高いため、肩関節の故障や痛みはよく起こります。
たとえば五十肩、腱板断裂、脱臼などが挙げられますが、先の二つの疾患は外来で大変よく見かけます。注射や内服薬での治療が必要になる場合もありますが、症状によっては運動やストレッチなどで関節周りの筋肉を強化することで、故障や痛みを予防することも可能です。ただし、もしも運動やストレッチをしていて肩関節に痛みを感じた場合は、早めに整形外科を受診するようにしましょう。
医師 長谷川 典子